2015年10月22日

MATLAB EXPO 2015 Japan、基調講演


写真:Impress Watch
 「MATLAB EXPO」は、米MathWorkが開発する世界最大のシェアを誇る数値解析ソフトウェア「MATLAB」製品ファミリに関するカンファレンスだ。同カンファレンスは世界各国で開催されており、最新機能や事例の紹介が行なわれている。日本でも毎年秋に開催されており、10月16日に14回目の開催となる「MATLAB EXPO 2015 Japan」が開かれた。 MATLAB EXPO 2015 Japanは、東京・ホテル グランパシフィック LE DAIBAで開催されたが、ここではその中から、千葉大学特別教授/株式会社自律制御システム研究所代表取締役社長の野波健蔵氏によって行なわれた、「ドローンによる空の産業革命と近未来」と題された基調講演の様子を紹介する。
 ドローンはもともと軍事用として開発されたものだが、日本では1980年代後半から1991年にかけて、キーエンスが「ジャイロソーサー�Dというクアッドコプターを発売しており、民生用ドローンでは先進国であったのだ。また、自律航行可能な農薬散布用ヘリコプターも、ドローンの一種といえる。ドローンは2016年あたりから、整備および点検、災害調査、測量、警備の4分野での普及が始まると考えられているという。
 野波氏らが開発・販売している純国産ドローン「ミニサーベイヤー」は、重量は3kgだが、最大6kgまでのモノを載せて飛ぶことができる。ミニサーベイヤーには6つの羽根があり、その回転速度を変えることで、エルロン/エレベータ/ラダーに相当する制御が可能だ。この制御の数式を解くことにMATLABを活用しており、効率良く開発が進められたという。
 また、実機を飛ばさずに、さまざまな検証が行なえるドローンのエミュレータを開発した。エミュレータには周囲の建物の3次元データも入っており、風などの設定も可能だ。
 ドローンは既にさまざまな分野で実用化されており、その例として、「ソーラーパネル点検」、「精密農業」、「ダムのコンクリート壁面の損傷目視点検」、「福島第一原発原子炉建屋内の調査」などが紹介された。福島第一原発原子炉建屋内の調査では、GPSによる測位が行なえず、レーザーセンサを利用して周囲の地図を作りながら飛行していく。
 今後の発展については、ドローン特区の第1号として認定された秋田県仙北市田沢湖スキー場など、国内でもドローンを自由に飛ばせるドローン特区の申請が相次いでいる。米国のMATTERNETは、ドローンを利用して交通インフラの整っていない世界10億人に物資を配送する計画を推進中である。また、Amazonもドローンを配送に使う計画であり、10マイル離れた場所へ5ポンド(約2.27kg)の荷物を配送する場合、ドローンを利用すれば、コストは1ドルになり、到着時間は30分に短縮されるという。
 さらに、ドローンによるAED搬送の実証実験が行なわれているほか、アメリカのデザインファームArgodesignは、ドローン救急車のコンセプトモデルを提案している。未来都市空間では、道路のようにドローンの飛行区域が決定されると考えられており、NASAもドローン航空管制システムの研究を行なっている。
 自律制御システム研究所が目指すのは、従来の飛行ロボットを遙かに凌ぐ、超堅牢な生物型飛行ロボットの開発である。地上300mまでの超低空間は、人類に残された最後のフロンティアであり、大都市上空を飛行可能な安全かつ信頼性や耐久性の高い飛行ロボットの実現により、ライフスタイルが3D型へと進化する。そうした飛行ロボットの実現まで5〜10年と見積もっている。
■ 展示会場ではロボットの制御やRaspberry Piでの活用例などが紹介
 MATLAB EXPO 2015 Japanでは、セッションだけでなく、パートナー企業による展示ブースも設けられている。展示会場はそれほど広いわけではないが、MATLAB/Simulinkを利用したさまざまなソリューションが展示されていた。ここでは、その中から特に興味を惹かれたものを紹介する。
 ロボティクスアプリケーション開発ソリューションに関する展示では、産業用の双腕ロボット「Baxter」を利用したデモが行なわれていた。このデモは、画像認識とハンドの制御によってチェッカーをプレイするというものだが、MATLAB/SimulinkのRobotics Sysytem Toolboxを活用することで、より短期間でのアルゴリズム設計および実装が可能になるという。
 ロボットビジョン開発ソリューションに関する展示では、TurtleBot2を利用して、地図作成と画像認識を行なっていた。こちらはMATLABから直接ROSネットワークにアクセスし、連携を行なっているもので、ロボットビジョン開発を効率良く行なうことができる。さらに、NVIDIAはコンパクトなMATLAB用ワークステーション「MATBOX」を展示していた。MATBOXは、Core i7とTesla K40Cを搭載したキューブ型ワークステーションであり、GPU演算を利用することで処理速度が大きく向上する。そのほか、Raspberry PiとArduinoを利用した画像処理やMATLABのオンライントレーニングに関する展示なども注目を集めていた。
■ 記者説明会でMathWorksの基本戦略や最新MATLABの強化点などが解説
 MATLAB EXPO 2015 Japanの開催にあわせて、「データ解析分野におけるMATLAB活用に関する記者説明会が行なわれた。この記者説明会では、MathWorksのMATLAB開発エンジニアリング担当副社長であるロイ ルリエ氏がプレゼンを行ない、データ解析分野におけるMathWorksの戦略、ならびにMATLABの優位性が解説された。その要旨は以下の通りだ。
 MathWorksは、1年に2回ソフトのリリースを行なっており、2015年9月10日に発表されたR2105bが最新版となる。主な市場は、航空分野から自動車、金融、医療、半導体にいたるまで幅広く、教育にも力を入れており、世界の5,000


Posted by knemidomo at 03:35│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。